天然の要害、秋深まりゆく吾妻峡②

前回からのつづき。ハイキングコースで吾妻(あがつま)峡の鹿飛橋(しかとびばし)へ向かう。

時刻はまだ10時台、晴天の陽ざしは樹々の葉を照らし、少し目にまぶしいほどだった。
しかし、ハイキングコース入口から一歩足を踏み入れると、途端に辺りはやや薄暗くなる。
カラっとしていた空気が少し湿気を帯びる。

すぐ目の前には落葉に半分埋もれた小さな橋があった。

 

橋を渡ると、すぐに急勾配の上りだ。
まぁそれくらいは想定範囲内。息は切れるけど、下りよりは上りのほうが楽。
さっそく上りはじめようとしたところ、なんと上から犬の散歩中のご夫婦(多分)が降りてきた。
散歩できる場所なんだ、ここわっ!

ちょうど録画していたのがこちらの映像。
全部で1分ぐらい、最後の10秒に映る枯葉吹雪が印象的。

 

 

鍛錬してる人ならどってことない勾配を、ぜーぜー言いながら上っていく。
森林浴パワーを感じるにはちょっと余裕がない。
勾配うんぬんよりも、おそらく一人で、初めてきた場所&この先どうなってるのかわからないことが、余裕のなさにつながるのだろう。

森の小人さんがどんじゃらほいとでてきそうだ

 

あと一息!

 

ここまでは道に迷うことはまったくない一本道。
距離もそれほど長くないし。
問題は、この先である。

 

上の動画をみても、いまひとつピンとこないかもしれないが、下りは短い距離を一気に駆け降りるのだ。

いや、実際はそろりそろりと降りるんだけど、自分的には転げ落ちていくような感じ。
鉄製の手すりがあるからいいように見えるが、実際は「あったところで」という感じかな。
(もちろん、絶対あったほうがいいのだけれど)

ここに来るまでは誰にも会わなかったが、この山道の下りで、観光客がちょっと団子状態になっていた。
みんな慎重に上り下りするからね。

青矢印のところに小さく鹿飛橋がみえる 撮影してるときは余裕ないので気が付かなかった

 

鹿飛橋の上に観光客の姿がみえる

 

つづら折りの山道を下っていくと、だんだん鹿飛橋が近づいてくる。
「山火事用心」の垂れ幕が、なんだかとても美しくみえる。

直角に下っていけばすぐ‥と思われる方もいるかもしれないが、くれぐれもそんな無茶はしないように。
実際に転落事故も起きているので、ルールを守って歩くが肝要。

少し先に行き先案内がみえる!

 

立入禁止のテープが

 

鹿飛橋に到着する少し前に分かれ道があり、案内標識がでている。
事前調査では通行可能と思っていたのだが、小蓬莱(しょうほうらい)と呼ばれる見晴台への道は閉鎖されていた。
見晴台への道がまた険しいのだが、見晴台(下図⑤)からは八ッ場(やんば)ダムを下流側から眺められる。
できれば行ってみたかった。

ただ岩島駅までまた徒歩で戻ることも考えると時間的に厳しいかも・・と思っていたので、通れないなら潔くあきらめることができる。

ちなみに、見晴台からの眺めは以下の写真のような感じである。
撮影時期は少し前のものと思われるが、想像していた以上にダムが近いところにあると感じる。
通行止めが解除されたら、やはり見晴台まで行ってみたいな。

国土交通省 関東地方整備局 八ッ場ダム工事事務所 撮影

 

鹿飛橋がすぐ真下にみえてきた。
写真を撮る人(しかも立派なカメラが多い)がたくさん。
吾妻川を流れる川の音も、間近で聞こえるようになってきた。

 

猿飛橋からの眺め。確かに鹿も飛び越えられそうな狭い場所もあり、自分も飛べそうな気になってくる。
だが、狭い場所でも2~3mはあるとのこと。
川の様子も、おそらく訪れる季節ごと、その直前の気象状況などによって表情を変えるのだろうと思う。

時刻は10時半~10時45分位。川面に直接陽があたることはあるのだろうか

 

吾妻川の左岸より撮影

 

 

写真では川の色が少し暗く映っているが、こちらの動画のほうが実際の色に近いかもしれない。
せせらぐというよりは、もっと力強く流れゆく水音を聞いていただきたい。

 

ああでも、鹿飛橋まで無事に来ることができて、本当によかった。
天候が悪いとちょっと厳しかったかもしれない・・・と思ったのは、さきほど来た道をまた戻らなければならないと思っていたからだ。

実は鹿飛橋を渡ると、目の前にコンクリートの階段があった。
折れ曲がった階段を、ほぼ垂直方向に上がっていくと、旧国道145線に出た。
そうか、旧国道145線の遊歩道からも直接降りてくることができるのだな。

遊歩道に戻ったすぐの場所に、こんな案内板があった。
読んでいくと「要害」という文字が目に留まる。
「要塞」の誤植なんでは?と思った自分のあぁ浅学よ。

地勢がけわしく、敵を防ぐのに適している場所を要害っていうんだね。
全然知らなかった。
要害で調べてみると全国にも色々あって、地形的にもおもしろい。

なお、上の案内板で言っている布袋岩だけど、正直どれだかよくわからなかった。

これ↓なのかしら?

布袋岩・・かもしれない眺め

 

 

道路沿いにまた標識が立っていた。
八ッ場ダムまで500mの場所にいるわけだが、実際にこのまま歩いてダムまでいけるわけじゃない。
「わけじゃない」と言い切ったけど、事前に調べた範囲では確認できなかった。
道はあるけど、おそらく途中で通行止めになっているんじゃないかと思うんだよね。
ダムの横を通り抜けることはできないはず。

⑥の旧熊の茶屋まではバス停もあり歩いていくことはできる

 

上の図の④から八ッ場ダムの方向に国道をしばらく歩いてきて、この先をどうするか考えた。
下り電車は11時52分。これを逃すと13時3分まで電車がない。
時計をみると10時56分だ。あと1時間弱、国道を歩いて岩島駅まで戻れるかぎりぎりのところだ。
(グーグル先生に尋ねると、徒歩で57分と出た。ちょっと小走りしないと)

ここでふと思い出す。乗る気はなかったけど、シャトルバスが運行されている。
平日ではないので、今日は運行本数も多い。
調べてみると、旧熊の茶屋(上図⑥)で11時ちょうどのバスがある!

でも11時まではあと数分しかない。
熊さんの茶屋がこの先どのあたりにあるか今いちわからない。
が、とりあえず、走ることにした。

背中のリュックを上下に揺らしながら、バス停を目指して走り始めた。

川原湯温泉駅は高みに昇り、旧駅は八ッ場ダムに沈む①」へ続く

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